那須の土地選びの8つのポイント

前提

昭和の時代、高度成長期になると日本人はレジャーにお金を使う余裕が出てきました。

そのような時代背景の中で庶民も別荘を所有する、

または将来のためにリゾートに土地を買うという流れが出来てきます。

 

実は那須はその代表例で「原野商法」と言って、土地を見ることもなく

原野を買わせる詐欺まがいのことが起こった時代でもありました。

 

詐欺かどうかはさておき、那須などのリゾートや田舎で土地を購入する場合

現地の状況をご自分の目でしっかり確認することが重要となります。

 

ただ確認と言っても何をどのように確認すれば良いか難しいですよね。

そこでいくつかのポイントを挙げてみたいと思います。

 

那須にはいまだ悪徳業者も多いと聞きます。

ご自身で見極める目をしっかり持っておきたいですね。

 

1.標高

那須で土地を選ぶ際、まず大切なのが標高です。

例えば軽井沢は比較的エリアも狭く全体的に平坦なため

ほぼ標高1000m弱という理解で良いのですが

 

那須は図のようにエリアも広く那須連山から南東方向に傾斜しています。

そのため①~④のどのエリアに土地を選ぶかによって気候が全く変わります。

 

夏は標高が高くなればなるほど涼しくなりますが涼しさに比例して冬の寒さは厳しくなります。

那須は豪雪地帯ではありません。しかし雪は降ります。

 

那須の雪が降る要因は2つあります。

①冬型の気圧配置になった時、日本海側から雪雲が流れてくるパターン

②南岸低気圧によって積雪となるパターン

 

①の場合は標高の高さによって雪の降り方や積雪具合が異なります。

標高500m付近で積雪している時に国道4号線の南側にあるゴルフ場に電話して

「雪降ってますか?」と聞くと「何のことですか?」と言われてしまうほど違います。

 

雪の性質はサラサラ乾いた粉雪で風が吹けば地吹雪で飛んでしまうほどです。

落葉した木立ちに積もる粉雪はそれは綺麗です。

 

②の場合は標高が低くても積雪になります。

東京で降る雪と同様に湿った重い雪になります。

低気圧の発達具合にもよりますが気温が低いので首都圏よりも積雪は多くなります。

 

以下、標高と気候の特徴を表にまとめましたのでご参考までに。

 

エリア 夏の最高気温目安 冬の最低気温目安 最大積雪目安 特徴
①標高800m以上エリア 26℃ -12℃ 50~100㎝ 冬の寒さが厳しく土地も少ない
②標高500~800mエリア 28℃ -10℃ 30~50㎝ 那須湯本がある以前より開発の進んだエリア
③標高300~500mエリア 30℃ -7℃ 15~30㎝ 気候も比較的安定し平成に入って人気が出たエリア
④標高300m以下エリア 32℃ -5℃ 20㎝以下 リゾートの雰囲気は薄いが田舎暮らしに向くエリア

 

那須で土地を選ぶ場合、多くが②~④のエリアになります。

 

<②標高500~800mエリア>

那須街道というメイン道路に当てはめてみると広谷地交差点~一軒茶屋交差点の間になります。

昔からの別荘地が多く点在し飲食店やリゾート施設なども多く存在する華やかなエリアです。

まさに那須を象徴する場所と言っても過言ではありません。

 

物件の特徴は木立ちが多く存在する物件が多く森の中のリゾート気分味わうには適しています。

人気のエリアであり別荘地内の物件も多いことから坪単価は比較的高くなります。

 

避暑地としては良いですが広谷地交差点から上は冬の積雪が多くなります。

30~50㎝の積雪があることも想定しておきましょう。

 

また那須のメインエリアですので土日や連休などは渋滞も発生します。

静かに暮らしたいと思う方は混雑状況なども確認すると良いでしょう。

 

<③標高300~500mエリア>

那須街道に当てはめると那須インターから広谷地交差点のエリアです。

私の家もこの標高にあります。

 

那須街道を走ってみると分かりますがこのエリアは比較的傾斜がなだらかで

気候も安定していることから近年、セカンドハウスや永住者に人気が増しているエリアです。

 

平坦な地形が多いので酪農家が多いエリアでもあります。

このエリアの南西方面、那須塩原市に入ったところも広々とした土地が沢山あります。

 

夏は最高気温30℃以上の日もあります。近年は昼間はクーラーが欲しくなることも増えました。

ただ夜になると18℃くらいになるので夜、クーラーを付けて寝たことはありません。

 

冬は最低気温-7℃くらいにはなります。高気密高断熱仕様でない家では室内の水道管が凍結します。

那須は関東地方なのですが冬の日中も日本海側からの雪雲な流れてきて曇天が多いです。

太陽が出ない日は最高気温3℃以下ということも珍しくありません。首都圏に比べれば寒さは厳しいです。

天気予報の「関東地方は良く晴れます」に騙されないことです。天気予報で言う「山沿いの一部」に当てはまります。

 

もう一つ重要なことは「那須おろし」と言われる冬の季節風です。

関東地方平野部の季節風の2倍近くの風速があります。風の強さは寒さの体感を増します。

 

④標高300m以下エリア

那須インターよりも南側のエリアです。

いわゆる那須高原というエリアではなくリゾートの雰囲気はありません。

静かに田舎暮らしがしたい方は坪単価も安くなるので良いかもしれません。

 

気候的には夏は十分暑いですし冬もしっかり寒いです。

那須連山からの扇状地になっているので水が豊かなエリアで農家が盛んで米どころでもあります。

道の駅などは高原エリアよりも面積が大きく充実しています。

 

 

2.面積

都市で生活していると(特にマンション住まいなど)地方で土地を選ぶ場合に

土地の面積に関する感覚をつかむのが難しいですよね。

 

例えば100坪の土地と聞いてあなたはどのような感覚になりますか?

広いと思いますか?狭いと思いますか?

広いか狭いかは価値観や用途にもよりますので何とも言えませんが

私なりの感覚をお伝えします。

 

ちなみに私の土地は100坪です。

セカンドハウス利用で、月に数回那須に通う程度です。

100坪あるとそれなりに広々感じますし

小規模な家庭菜園は十分楽しめます。

 

問題は有効利用出来る面積がどのくらいあるかです。

私の土地はほぼ100%有効利用出来るので、あまり無駄はありません。

例えば土地の75%が急傾斜地であれば、300坪あっても有効利用出来る面接は小さくなります。

 

私の土地は100坪ですが月1~2回の訪問で管理をするのは中々大変です。

特に大変なのは雑草です。春~秋は否応なしに伸びてきますし

新しい土地は最初は少なくても年々その数は増加します。

 

その他にも「管理」すべき物や事は沢山あります。

 

 

逆に永住しようとなった時、100坪では物足りなく感じるかもしれません。

どのような生活を送りたいかにもよりますが

庭づくりや家庭菜園など、田舎暮らしをしているとやりたいことが

次から次へと出てくる傾向があります。

 

那須の坪単価は比較的安いので300坪はもちろん、1000坪の土地などもいくつも売りに出されています。

私も最初は1000坪と聞いてピンと来ませんでしたが今ではそうでもありません。

 

3.形

形とは土地の形のことです。意外と大切です。

面積のところで書きましたが土地はどれだけ「有効利用」出来るかどうかが大切です。

 

例えば正方形の100坪と三角形の100坪では家を建てる時の難易度が違います。

都会で宅地が販売される場合、きれいに区画整理してある場合か、前の持ち主が退去し家を取り壊してある状態が多いですが

那須や田舎の場合は整形地の方が少ないかもしれません。

 

不動産業者は「売りたい」前提で変形地であっても問題ないと説明しますが

土地の形は出来るだけ正方形や長方形に近いものを選ぶことが賢明な選択です。

 

4.傾斜

那須は非常に傾斜の多い地形です。

地図を見て頂くとわかりますが那須岳~那須インター~JR~国道4号線~とずっと傾斜をしています。

もちろん那須は「高原」と言われるくらいですから平坦な土地も沢山あります。

けれども「傾斜」している土地も沢山あります。

 

傾斜地が悪いという訳ではありません。

一般的に傾斜地は眺望が良いことが多く下界を眺めるのに適した土地もあります。

 

問題は住宅を建てる場合の工事費がかさむことです。

傾斜の角度にもよりますが一般的な平坦な土地に比べて基礎工事の難易度が上がります。

技術的にもそうですし使用するコンクリートの量も多くなるはずです。

 

当然、いい加減な業者に頼むと後々大変なことになります。

これは基礎だけでなくウッドデッキについても同じことが言えます。

傾斜地に立った眺望の良いデッキは非常に見栄えも良く憧れますよね。

 

ただし、デッキの木材の強度や耐久性、基礎工事の出来具合が

何年も気持ちよく使うためには大切になります。

 

また「面積」のところでも少し触れましたが

傾斜地が多いということは土地の有効利用出来る面積は減ります。

そのことも踏まえて傾斜地でも良いかどうか判断すべきだと私は思います。

 

5.種類

ここで言う種類とは何を指すのか。いくつか例を挙げてみます。

 

■別荘地か一般の土地か

別荘地とは辺り一帯を開発した業者が土地を分譲し管理している土地です。

別荘地のメリットは管理がされていることです。お金を出せば別荘の空気の入れ替えもやってくれるところもあります。

周辺道路の整備や雑草、落ち葉などの清掃、場所によっては除雪もしてくれます。

 

ただ管理の良し悪しには管理会社によって差があるので気をつけてください。

例えば別荘地内の道路ひとつとっても、アスファルト舗装されている道もあれば

石ころだらけで車一台通れるかどうか、といった悪路もあります。

 

また管理費も様々です。仮に年間数万円払ったとして満足行くサービスをしてくれる管理会社と

そうでない管理会社は存在します。これも現地を見るとなんとなくわかるきもしますが

ご自身の目で見ることをお勧めします。

 

逆に一般の土地のメリットは管理費が一切かからないことにあります。

ただし管理は全て自分でやることになります。

 

これは私の個人的な意見ですが土地や周辺および建物の管理をすることに

田舎暮らしの意味があるような気がします。でも、これはあくまで個人の価値観です。

 

■地目は何か

不動産の取引用語に「地目」という項目があります。

土地は法律でその目的が決められています。

 

那須で土地を購入する際に多いのが「山林」や「農地」です。

「山林」の場合、現地を見て頂くと雑木林など木立ちがある場合があります。

 

このときに気を付けたいのが土地に対して木がどのくらい生えているかです。

土地に対して100%木が生えていれば建物を立てるために伐採が必要です。

伐採は根元から切るだけですから根っこも抜きたければ抜根になります。

 

ここでも費用の問題が発生します。

伐採だけでなく抜根もしたいとなれば費用はかなりアップしますので良く検討する必要があります。

 

雑木林は夏と冬では風景がまったく違います。

生えている気が「落葉」する樹木なのか、杉のように「常緑」の樹木なのかは良く見る必要があります。

ちなみに土地の写真が掲載されている場合「落葉」の樹木が多い土地で冬の風景は陽当たりがかなり良く感じますが

夏に現場を訪れると鬱蒼とした日陰になっていて湿度が高く状況は全く違います。

 

実は住宅を維持する上で「湿気」は大きな問題です。

高原の木漏れ日の中の優雅な家を想像することもありますが

現実的に「湿気」は問題ないかどうかも検討する材料のひとつになります。

 

「農地」

那須には田んぼや畑が多く、特に田んぼは休耕田になっている土地が売りに出されていることが多くあります。

その場合「農地転用許可」といって農地を宅地に変更したい許可を申請する必要があります。

手続きは不動産屋さんがやってくれると思うので問題ありませんが場合によっては許可されないケースもあるので注意が必要です。

 

農地は木が生えているケースは少ないので陽当たりが良いのがメリットです。

 

6.道路の環境

実は土地選びの時に意外と見過ごしてしまうのが道路の問題です。

道路のチェックポイントは大きく言って2つあります。

 

(1)土地に隣接した道路が建築基準法にあっているか

詳しくは別途調べて頂くか、専門家にご相談頂くのが良いですが

最悪の場合、住宅を建築出来ない可能性もあるので十分注意が必要です

 

(2)候補の土地までアクセスする道路全般の状況

この点について不動産屋さんから具体的な説明がある場合はほとんどありません。

ですが私、個人的にはとても重要だと思っています。

 

例えば候補の土地から最寄りのスーパーマーケットまで自家用車で往復したとします。

・舗装状況はどうでしょうか? 那須は砂利道もとても多いです 未舗装といってもレベルは様々です

・道路幅はどうでしょうか?  大型車を所有している場合、通れるか?

・街灯などはあるか?     無くても良いなら問題ないですが、田舎の夜は漆黒の闇となります

 

ちなみに私も物件を見に行った経験上、未舗装のアクセス道路の方が多いくらいですから

ご自身で優先順をつけておくと良いです。理解した上で決めることが大切ですね。

 

7.陽当たり、風当たり

陽当たりについては都市部の土地選びよりも苦労しないかもしれません。

那須で土地の陽当たりを考える場合、どのようなライフスタイルを好むかがポイントです。

 

家庭菜園や庭づくりなどに重きを置いた場合、雑木林でいっぱいの土地は正直不向きです。

避暑が目的で木陰の涼しい風と生活したいなら木の無い土地は暑いと感じるかもしれません。

 

そして那須で大きな問題となるのは「風当たり」です。

主に冬の時期に吹く西北西の季節風は「那須下ろし」と呼ばれ

平均風速で15メートル、瞬間的には30メートル近い突風が吹き荒れます。

 

その証拠に農家の庭の北側には防風林が多く見られます。

ちなみに私の家は北側に那須岳の経験を優先したため

那須下ろしの風当たりは強烈です(笑)。

風の音で夜、目が覚めることも珍しくありません。

 

雑木林が多いと風が防げそうですが

防風で木が倒れることもあるので

家を建てる際は注意が必要です。

 

8.水源と排水

この項目も都市生活の方は十分な理解が必要です。

 

まず上水道です。つまり飲み水や生活用水のことです。

都市生活ではあたりまえのように水道を使いますよね。

 

井戸水を使っている方もいるかもしれませんが、

現代の都市部ではとても貴重な水源になってしまいました。

 

ちなみに那須エリアでの水源は大きくいって3つあります。

 

・公営水道    :自治体が提供する水道。水質検査もしてあるので安心して飲めます。加入金あり。

・井戸水     :公営水道が引けない一般の土地で利用されています。井戸を掘削する手間と費用がかかります。

・別荘地内の水道 :別荘地内で独自に設けている水源です。加入金が高いのがデメリットです。

 

土地の立地条件によって変わりますので確認しておく必要があります。

 

次に下水道ですが那須エリアに下水道は無く、合弁浄化槽によって宅地内でろ過処理します。

詳しくは調べて見てください。

 

都市生活をしていると気がつかないうちに下水道使用料を取られて

自治体からサービスを受けていることに気づきます。

 

また雨水の排水設備などもあまり整っていません。

県道などの水はけも都市部に比べれば圧倒的に良くないです。

 

まとめ

土地選びの際にそれぞれのポイントについてご自分なりの希望を整理すると良いですね。

また不動産屋さんに希望を伝える時も項目に沿って希望と優先順位を伝えると

不動産屋屋さんも案内しやすくなるのではないかと思います。

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